2009/03/31
カテゴリー 複合酸化物顔料工業会

JCICPA ニューズレター 第4号

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粉状ニッケル化合物の健康障害防止対策に求められる措置について

需要家各位

2009年3月 複合酸化物顔料工業会

はじめに

当工業会で扱われる複合酸化物系無機顔料は、その化学特性上、極めて安定性の高い化学物質であり、人体への健康障害においてはリスクの低い物質であることを当工業会では予てより主張をして参りました(*1)。しかしながら、今回の改正法(*2)にあたり、それらの化学物質の中でも特にニッケル化合物で粉状の物に限り、新たに労働安全衛生法における特定化学物質・管理第2類物質として追加されることになり、その取扱いをせざるを得ないこととなりました。

 当工業会では、今回、法律で追加されましたこれらの物質におきまして、新たに設けられた規制内容及び必要な措置等につき、以下の様にご案内いたします。

(*1) 当会HP 「安全性について」 「ニューズレター第3号」をご参照ください
(*2) 労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令(平成20年政令第349号)及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第158号)

ニッケルを含有する複合酸化物系無機顔料

■ C.I. Pigment Yellow #53 : Ti-Ni-Sb : CAS.8007-18-9*
■ C.I. Pigment Yellow #161 : Ti-Ni-Nb : CAS.68611-43-8*
■ C.I. Pigment Green #50 : Co-Ni-Ti-Zn : CAS.68186-85-6*

複合酸化物系無機顔料でニッケルを含有する代表的な品目は上記の化合物になります。また、複合酸化物系無機顔料では上記以外のものでもニッケルを改質剤として使用し、含有する場合があります。詳しくは各社から提供されるMSDSをご参照くださる様にお願いいたします。

容器等への表示

適用範囲

ニッケル化合物(粉状の物に限る)を重量の0.1%以上含有する製剤その他の物   【 概要 】
容器又は包装に入れて譲渡し、又は提供する者は、容器又は包装に次の事を表示しなければなりません。名称、成分、人体に及ぼす影響、貯蔵または取り扱い上の注意、表示者の氏名・住所・電話番号、注意喚起語、標章、安定性及び反応性

詳細

[表示等](安衛法第57条)
[名称等を表示すべき危険物及び有害物](安衛則第30条)
[名称等の表示](安衛則第32条)
[表示する者の氏名等](安衛則第33条) *(安衛則別表第2)

経過措置

平成21年4月1日から適用されますが、この時点ですでに存在する物については、平成21年9月30日までは適用されません。

発散抑制措置等

適用範囲

ニッケル化合物(粉状の物)を重量の1%を超えて含有する製剤その他の物(以下対象物)

概要

対象物を製造し、又は取り扱う作業全般について、対象物のガス、蒸気、粉じんの発散による労働者ののばく露を防止するための措置を講じなければなりません。具体的には、発散源の密閉、又は構造、性能等について一定の要件を満たした排気装置の設置、装置の点検、及び設置計画の届け出などが必要となります。
* 抑制濃度はニッケル化合物 0.1mg/㎥(ニッケルとして)

詳細

[対象物のガス、蒸気又は粉じんの発散する屋内作業](特化則第5条)
[局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の要件](特化則第7条及び第8条)
[局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の点検及び記録](特化則第30、32、33、34の2、35条)
[設置計画の届出] (安衛則第86条、第88条及び別表第7)
[除じん](特化則第9条)

経過措置

[設置計画の届出]は製造設備・発散抑制設備を平成21年6月30日までに設置・移転・変更しようとする場合には必要ありません。それ以外は平成22年4月1日より措置が必要となります。ただし、平成21年4月1日以降、製造取扱い設備を新設する場合には新設時からその措置が必要となります。

漏えい防止のための措置等

適用範囲

ニッケル化合物(粉状の物)を重量の1%を超えて含有する製剤その他の物(以下対象物)

概要

対象物を製造し、又は取り扱う設備からの漏えい事故等による労働者の健康障害を予防するための措置を講じなければなりません。

詳細

[不浸透性の床の設置](特化則第21条)
[設備の改造等の作業時の措置](特化則第22条、第22条の2)
[立入禁止措置](特化則第24条)
[適切な容器の使用等](特化則第25条)

経過措置

[不浸透性の床の設置]は平成22年4月1日より適用
それ以外は平成21年4月1日より適用

作業主任者

適用範囲

ニッケル化合物(粉状の物)を重量の1%を超えて含有する製剤その他の物(以下対象物)

概要

対象物を製造し、又は取り扱う作業(研究のため取り扱う作業を除く)については、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した者のうちから、特定化学物質作業主任者を選任しなければなりません。
また、選任された特定化学物質作業主任者には、作業に従事する労働者が対象物に汚染され、または対象物を吸入しないように作業の方法を決定し、労働者を指揮すること、排気装置の点検、保護具の使用状況の監視などが要求されます。

詳細

[特定化学物質作業主任者の選任](特化則第27条)
[特定化学物質作業主任者の職務](特化則第28条)

経過措置

平成23年4月1日より適用

作業環境測定

適用範囲

ニッケル化合物(粉状の物)を重量の1%を超えて含有する製剤その他の物(以下対象物)

概要

対象物を製造し、又は取り扱う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定士による作業環境測定(*)を行わなければなりません。その結果を一定の方法で評価を行い、評価結果に応じた適切な改善を行う必要があります。
また、測定の記録及び評価の記録は30年間保存する必要があります。
*) ニッケル化合物における管理濃度は 0.1mg/㎥(ニッケルとして)

詳細

[測定及びその記録](特化則第36条)
[測定結果の評価](特化則第36条の2)
[評価の結果に基づく措置](特化則第36条の3、第36条の4)

経過措置

平成22年4月1日より適用

健康診断

適用範囲

ニッケル化合物(粉状の物)を重量の1%を超えて含有する製剤その他の物(以下対象物)

概要

対象物を製造し、又は取り扱う作業に常時従事する労働者に対して、雇入れ又当該業務への配置換えの際、及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、規定の項目について健康診断を行わなければなりません。健康診断の結果は労働者に遅滞なく通知し、定期の健康診断においては特定化学物質健康診断結果報告書を労働基準監督署長に提出しなければなりません。また、対象物が漏えいし労働者が汚染された時は医師による診察又は処置を受けさせなければなりません。

詳細

[健康診断の実施](特化則第39条)
[健康診断の結果の記録](特化則第40条)
[健康診断の結果についての医師からの意見聴取](特化則第40条の2)
[健康診断結果報告](特化則第41条)
[緊急診断](特化則第42条)
*(特化則別表第3)
*(特化則別表第4)
*(特化則別表第5)
*(特定化学物質健康診断結果報告書 様式第3号)

経過措置

平成21年4月1日より適用

その他の措置

適用範囲

ニッケル化合物(粉状の物)を重量の1%を超えて含有する製剤その他の物(以下対象物)

概要

対象物を常時、製造し、又は取り扱う作業に労働者を従事させる場合には、有効な保護具の具備、作業記録の保存(30年間)、休憩室・洗浄設備の設置・管理、特別管理物質であることの掲示等を行わなければなりません。

詳細

[呼吸用保護具](特化則第43条)
[保護衣等](特化則第44条)
[保護具の数等](特化則第45条)
[作業の記録](特化則第38条の4)
[休憩室](特化則第37条)
[洗浄設備](特化則第38条)
[喫煙等の禁止](特化則第38条の2)
[掲示](特化則第38条の3)

経過措置

平成21年4月1日より適用

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